在宅医療への想い・こだわり
在宅えいよう薬局は、熊本市東区の榎町に開いた、ひとつの訪問薬局です。外来窓口を主軸とした従来型の薬局ではなく、薬剤師が患者様のご自宅・施設まで伺うことを軸に運営しています。
「住み慣れた場所で過ごしたい」── そのお気持ちに寄り添うために
なぜ、外来ではなく在宅なのか。
大きな理由は、「住み慣れた場所で過ごしたい」というご本人・ご家族のお気持ちに、薬の側からきちんと関わりたいからです。療養が長くなれば、お薬の種類は増え、飲み方は複雑になります。ご家族だけで管理しようとすれば、不安も負担も大きくなる。そこに薬剤師が入って、お薬カレンダー、一包化、副作用の確認、残薬の調整までを丁寧に整えていく。外来では見えないところに、薬剤師の役割がたくさんあると感じています。
医療用麻薬の調剤と、在宅緩和ケア
当薬局では、医療用麻薬(オピオイド製剤)の調剤にも対応しています。これは経営的にも業務的にも、簡単な選択ではありません。それでも取り扱うのは、在宅での緩和ケアを成り立たせるためには、地域の薬局がここを担う必要があると考えているからです。
がん疼痛の管理、レスキュー薬の使い方、ご家族の不安への応答──。医師・訪問看護師・ケアマネジャーの皆様と密に連携しながら、薬剤師としてできることを、その都度組み立てていきます。
24時間365日、お電話でつながる
ご契約の患者様・ご家族の緊急時には、夜間・休日も24時間365日、薬剤師がお電話で対応いたします。電話でつながるだけでなく、状況に応じて実際にご訪問・ご対応もいたします。
これは派手なサービスではなく、在宅医療に取り組むなら避けて通れない役割だと考えています。夜中に「お薬がなくなりそう」「服用方法に不安がある」という瞬間にこそ、すぐ繋がる窓口がないと、ご本人・ご家族は不安のまま朝を迎えることになる。そういう時間を少しでも減らしたい。それだけです。
チームの一員として
在宅医療は、薬局単体では完結しません。
訪問診療医、訪問看護師、ケアマネジャー、ヘルパー──地域で関わる全ての方々と、ひとつのチームとして患者様に向き合っています。報告書を書き、電話をかけ、必要があれば訪問診療に同行する。地味な作業の積み重ねの中に、患者様が「住み慣れた場所」で過ごせる時間が積み重なっていくのだと思っています。
ひとつの薬局として、手の届く距離で
当薬局はあえて多店舗展開せず、ひとつの薬局として運営しています。
規模を広げれば、対応できる件数は増えます。けれど、スタッフが各拠点に分散すれば、薬剤師同士の連携力も、現場の機動力も、同じだけ分散していきます。在宅医療では、目の前の一件に対して薬剤師が集中して関われることが、患者様の安全とご家族の安心に直結する──そう考えています。
もうひとつ大切にしたいのは、ともに働くスタッフへの思いやりです。利用者様に手を差し伸べたい想いがあるなら、ましてや日々その現場を支える薬剤師スタッフに対しても、無理を強いる体制であってはなりません。手の届く範囲を見極めて、丁寧に運営する。それが、結果として患者様にも誠実な薬局でいるための土台になると考えています。
クスリの先へ ── 暮らしに寄り添う薬局として
私たちが目指しているのは、薬をきちんと届けることだけでは、ありません。
服薬の安全は、もちろん大切な前提です。けれどそこで終わるのではなく、利用者様の日々の時間そのもの、ご家族や施設スタッフの皆様の安心、そして「ちょっと楽しい」と感じていただける瞬間にも、薬剤師として関わっていきたいと考えています。
クスリの先へ。ココロのえいようへ。
このスタンスを、これからもひとつずつ形にしていきたい。日々の訪問の積み重ねの先に、暮らしに自然と溶け込む薬局の姿を、これから少しずつ築いていきます。
「ご自宅で過ごす時間に、薬剤師が寄り添う薬局」── これが、私たちが大切にしている言葉です。
クスリの先へ。
ココロのえいようへ。
薬を届けるだけでなく、暮らしと、心が動く時間にも寄り添える存在として、これからも一日一日を丁寧に積み重ねていきたいと思います。
在宅えいよう薬局 管理薬剤師
中西 祐介